食品衛生検査への応用
従来の食品衛生検査法は培養の操作を含むため、数日間から1週間程度の日数がかかり、検査期間の短縮化が求められていました。ホタルの発光酵素ルシフェラーゼを用い、全ての生物にエネルギー物質として含まれるATP(アデノシン三リン酸)を微生物や汚れの指標として測定するATP法は、簡便・迅速な測定が可能です1)。ATP法は、2004年に厚生労働省監修の食品衛生検査指針にも収載された食品衛生検査法です2)。
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図1.ATPの検量線(RLU: Relative Light Units) |
■ルシフェラーゼの発光原理と改良 ルシフェラーゼはATP量に依存して発光するため、光の強さを測ることで迅速かつ高感度にATP量を測定できます(図1)。当社では、1980年代にルシフェラーゼの研究に着手し、ゲンジボタルとヘイケボタルのルシフェラーゼを「スリーパーベクター」により大量生産することに成功しました。また、野生型のルシフェラーゼは熱や化学物質に対して不安定でしたが、臨床診断用酵素開発で培った酵素改良技術を用い、熱や界面活性剤に対して安定なルシフェラーゼの開発に成功しました(図2、3)。現在、これら改良型ルシフェラーゼを用いた製品開発が進んでいます。
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《引用文献》 |
1) |
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村上成治ほか, ホタルルシフェラーゼの応用開発, 日本農芸化学会誌, 78(7), 630-635(2004) |
2) |
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社団法人 日本食品衛生協会, 第2章 細菌, 食品衛生検査指針, 71-74, 122(2004) |
3) |
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Hattori, N. et al. : Enhanced microbial biomass assay using mutant luciferase resistant to benzalkonium chloride, Anal. Biochem., 319, 287-295(2003) |
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