当社では、1970年代に遺伝子組換え技術の研究に取り組み、「スリーパーベクター」を用いた独自の酵素生産システムの開発に成功しました(図1)1)。 このベクターを用いて大腸菌の染色体に組み込まれた外来遺伝子は、常温ではまるで「眠っている」かのようにほとんど機能しないため、この名前が付けられました。しかし、一時的に加熱すると、この遺伝子は100~1,000倍に増幅され、大量の酵素を製造することができます。これまでに、微生物から哺乳類に至るまで、幅広い生物由来の酵素の生産に成功してきました。スリーパーベクターは工業化され、臨床診断用の各種酵素や食品衛生検査で用いられるホタルの発光酵素「ルシフェラーゼ」の大量生産に活用されています2)。 |
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図1.スリーパーベクターによる酵素生産 | | |
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《引用文献》 |
1) |
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中野衛一, 溶原性ファージベクター, 蛋白質核酸酵素, 32, 1133-1140(1987) |
2) |
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中野衛一ほか, 工業生産用ファージベクターの開発とそれによる診断用酵素の生産, 日本農芸化学会誌, 63(6), 411-414(1991) | |